【2014年10月6日(月)】
あっけない・・・
嘘だろ・・・
もう・・・会えないんだ・・・
☆☆さんと知り合ってから約2年
非常に濃密な時間を過ごしたと思う。
仕事熱心で勤勉
真面目を絵にかいたような人物像
スポーツマン
背が高くてさわやかで
「仕事で近くまで来たから食事でも」
「今度○○社さんへ同行しましょう」
当時、若くて知識の乏しかった私を
サポートして下さいました。
週末のご遺体発見のニュースにより
本来予定していたサンプル品の打合せは
実現することが無くなってしまい、
私の職場のメンバーにもこの事を伝え
この製品の企画はお蔵入りとなった。
・こんな商品が欲しい
・こんなシチュエーションで使いたい
・こうすればお客さんも喜ぶのでは?
私の意見をたくさんメモして
出来上がった一つのカタチ。
それなのに・・・。
【2014年10月27日(月)】
御嶽山の噴火から1か月が過ぎた。
☆☆さんの社内はまだバタついていて
さすがに「状況はどうですか?」など
聞けるはずもない。
☆☆さんの発見ニュース以降、
居てもたってもいられず、
ネットで色々な情報を探してみた。
結果的にわかったのは、
すでにご家族の皆様により
ご葬儀を済ませておられたという
事実のみ。
(そんな・・・)
ご葬儀にも参加できず
急に「亡くなった」と言われても
納得できない。実感もわかない。
その時、私はあることを思い出した。
「私の自宅はですね・・・」と
☆☆さんが教えてくれた
お住まいの事でした。
とある日の昼食中にマイホームの話で
盛り上がって、グーグルマップにて
お住まいを検索したことがあり、
そのお住まいの特徴を拝見していたのです。
☆☆さんの趣味が心置きなく楽しめるように
普通の家にはない「ある装置」が付いていて
非常に特徴的なお住まいだったのです。
「ココですよ!ココが私の自宅です」
そんなふうに教えていただいた。
調べたときの履歴・・・
グーグルマップに・・・あった。
居てもたってもいられなくなり
私は香典を携えて
☆☆さんのご自宅に向かうことにした。
【2014年10月27日(月)】
○○方面へ商用で出かけますと言い残し、
事務所を出発して、☆☆さんの職場と
ご自宅に向かった。
電車を乗り継ぎ、
初めて乗る路線へ。
そして最寄り駅に立った。
職場はお取引のある先なので、
訪問自体は問題ない。
しかしご自宅は・・・急に弔問で
ご家族を傷付けはしないだろうか?
色々な思いをかみしめながら
まずはご自宅を目指す。
以前グーグルマップで教えてもらったから
場所はうっすらと頭に入っている。
土手沿いの大型商業施設のある真向いの
セブンイレブンに立ち寄る。
朝、会社を出てから早数時間。
既に正午は回っており、
その施設を眺めてカップラーメンを食す。
(生前の☆☆さんも来たのだろうか)
そんな事を考えながら、
カップラーメンを食べ終えた私は
引き続き☆☆さんのご自宅を目指して歩く。
ほどなくして到着。
そうだ・・・
グーグルマップで見た通りの造り。
インターホンを押そうと思ったが、
急に訪問することに躊躇いを覚え、
お伺いする勇気が出なかった。
実は奥様とお子さんにお手紙を書いていた。
奥様へは突然の訪問に対するお詫び、
生前のご主人に大変お世話になったこと、
もし何か力になれることがあればぜひ、と
書き綴りました。
お子さんへは
「普段見ることのできない
お父さんの働いていた姿」これを
伝えてあげたくて、☆☆さんとの
初めての出会いから亡くなる前日の
最後のショートメールのやり取りまでを
記録した日記の様な手紙を書いていた。
なぜお子さんにまで?
それは
「子どもにとって
働く父親の姿がとても重要だから」
と考えたでした。
いつかお子さんも社会人となり、
世に出る中で色々な悩み・葛藤・
苦労を抱えていくことでしょう。
そんな時、やはり父親という手本、
そして相談相手がいれば、色々なお話が
出来るのです。
しかし自然災害という形で父親を亡くし
追うべき背中が無いというのは忍びない。
そして亡くなられた☆☆さんご本人が
一番無念だったのでは?と考えました。
お子さんの成長をご自身の目で見て、
いつか社会人として巣立つ日をご覧に
なりたかっただろうと・・・。
だから手紙の末文には
「もし貴方が将来大人になり、
いつか私の住む地域にお仕事で
足を運ぶようであれば、
ぜひ訪ねてきてほしい。
そして社会に出て
困ったときには力になるから、
遠慮なく連絡をください」
そう書き綴りました。
しかし・・・
ご自宅の目の前で、
弔問を思い留まってしまった。
勇気が出なかった
ご家族に余計悲しい思いを
させるかもしれない
ご本人がこの世にいないという
事実を認めたくない
ご自宅の目の前まで来て
訪問することなく踵を返し、
次に私は☆☆さんの
職場を訪問することにした。
つづく。